人工知能の入門に読んでよかった本・webサイト
はじめに
なんかよく分かんないけど凄いらしい人工知能を勉強するにあたって,読みやすかった/理解しやすかった本やwebサイト,動画など羅列していく.
特に,人間が行なっている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようとする技術である機械学習を中心に紹介する.
ただし,大学1~2年で習うような数学(微分積分,線形代数,確率統計学)は前提知識とする.
人工知能とは
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの / 松尾豊,2015
人工知能が暴走し人間を支配する...ということは無いらしいのでひとまず安心できる.人工知能研究の歴史,現在,未来が初心者にもわかりやすく解説してある.そもそも人工知能とはどこから始まったのか.人工知能を作るには何が必要なのか.昨今ブームのディープラーニングの何が凄いのか,なぜ凄いのか,どのように実現されたのか.やさしく説明されているので人工知能に関して分かったような気になれる.初心者がこれから勉強していくにあたりイメージを掴むのにもってこい.
ただし,一部内容が古くなってしまっているため注意が必要(人工知能研究のスピードが速いので仕方ないが).
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)
- 作者: 松尾豊
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本
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機械学習全般の入門書
はじめてのパターン認識 / 平井有三,2012
通称・はじパタ,ピンク本
パターン認識に使われる手法全般が網羅的にコンパクトにまとまっている人気の教科書.数式がいっぱい載っているのに分かりやすい.
イラストで学ぶ機械学習 最小二乗法による識別モデル学習を中心に / 杉山将,2013
データを集めたら直線引きたくなる,最小二乗法.そこから始まりRidge回帰やLasso回帰,ロバスト回帰と発展していき機械学習全般に触れる.Matlabのサンプルコードがついているので実装しながら勉強できる. 「イラストで学ぶ」とあるがイラストが邪魔だなとたまに感じる.
機械学習の講義の教科書に指定されていた.
イラストで学ぶ 機械学習 最小二乗法による識別モデル学習を中心に (KS情報科学専門書)
- 作者: 杉山将
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/09/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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実践 機械学習システム / Will Richert, 2014
機械学習の理論を詳しく解説しているわけでは無いが,Pythonサンプルコードが豊富で実際にデータを使って機械学習を体験していくことができる.手法を説明するというよりかはタスクに対してどう対処するかに重きを置かれている.扱う題材もiris分類問題,文書,レコメンドシステム,画像,音楽,ビッグデータと実践的.楽しい. ただ,サンプルコードはPython2で書かれているので注意が必要.
僕はこの本から機械学習の勉強をはじめた.
- 作者: Willi Richert,Luis Pedro Coelho,斎藤康毅
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2014/10/25
- メディア: 大型本
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渡辺澄夫先生のHP
東京工業大学教授.学習理論の権威.講義資料や講演スライドが公開されている.イラストがかわいい.
ディープラーニング
高卒でもわかる機械学習 シリーズ
ニューラルネットワークとは何か,ディープラーニングとはどうなっているのか,を非常に分かりやすく説明している記事.これ以上分かりやすく解説してくれるwebサイトは無いだろう.まずこれを読め.
深層学習 / 岡谷貫之,2015
ディープラーニング入門書といえばコレ.多層パーセプトロンから畳み込みニューラルネットワーク,再帰型ニューラルネットワーク,制約付きボルツマンマシンまでディープラーニングの基礎を一通り丁寧に解説.
ディープラーニングの講義の教科書に指定されていた.
詳解 ディープラーニング / 巣籠悠輔,2017
必要な数学の知識,Pythonのインストール,数値計算ライブラリNumPy,深層学習ライブラリTensorFlow・Keras,単純パーセプトロンから基本的なディープラーニングまで分かりやすく解説.実装例も豊富.後半は系列データの学習に用いられるRNNが中心.画像処理向けのCNNや生成モデルには触れられていない.
ゼロからディープラーニングの基礎を勉強するならこれ1冊持っておけばOKな本.
詳解 ディープラーニング ~TensorFlow・Kerasによる時系列データ処理~
- 作者: 巣籠悠輔
- 出版社/メーカー: マイナビ出版
- 発売日: 2017/05/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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東大松尾研
Deep Learning基礎講座の演習コンテンツ(jupyter notebook)が公開されている.NumPyの演習から始まり,多層パーセプトロンをNumPyのみで実装,TensorFlowを使ってCNNやRNNを実装する.手を動かしながら勉強できるのでとても身につく.講義で使ったスライドや応用講座(高度な画像処理,生成モデル,強化学習)のコンテンツも公開すればいいのに...
東大大学院講義の演習コンテンツ.
この大学院講義は社会人も受講可能.さらに,オンライン教育プログラムも実施されている.
むにむに別館
ニューラルネットワークの仕組みを物理エンジンを使ったCGで分かりやすく見ることができ視覚的に理解が捗る.面白い.
【NN】#1 単一ニューロン(単純パーセプトロン)の学習と推論
強化学習
全力で人工知能に対決を挑んでみた(理論編)
Google DeepMind社の囲碁AI AlphaGOがプロ棋士に完勝して以来,注目を集めている強化学習.そのアルゴリズムの一つDeep Q-Network(DQN)をとても分かりやすく解説している動画.
統計学/ベイズ
データ解析のための統計モデリング入門 / 久保拓弥,2012
人工知能とはある種のデータ解析技術.その基本を系統的にまとめた本.
通称・緑本
何らかのデータを手に入れたとき,それがどんな関数にしたがって生成されたものなのか,モデルを構築する. 合理的なモデルを構築することによってデータを説明する.機械学習というよりは統計学の本.様々な分野で,データ解析が必要な人が読む本.ベイズにも触れる.
データ解析のための統計モデリング入門――一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC (確率と情報の科学)
- 作者: 久保拓弥
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2012/05/19
- メディア: 単行本
- 購入: 16人 クリック: 163回
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ベイズ推論による機械学習入門
自分の持っている知識を予測モデルに組み込むベイズ推論の入門書.
杉山将「自分が学生の頃にこのような教科書があったら良かったのに,と感じさせる一冊」(帯より)
機械学習スタートアップシリーズ ベイズ推論による機械学習入門 (KS情報科学専門書)
- 作者: 須山敦志,杉山将
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/10/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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結局のところまずどれを読めばいいのか
以上に挙げた本は全ておすすめであり全部読んでみるのがいいと思うが,とりあえず最初に読むべき本は以下の通り.
ディープラーニングを手っ取り早く勉強したい人
・ディープラーニングが何しているのか知りたい人
「高卒でもわかる機械学習」 →「深層学習」
・ディープラーニングを実装したい人
「詳解 ディープラーニング」→「Deep Learning基礎講座演習コンテンツ」
機械学習を手っ取り早く勉強したい人
・数学が得意な人
・実装しながら勉強したい人
おわりに
僕が読んだ中でおすすめできそうな入門書を挙げてみました.随時更新していけたらなと思います.これ以外にあったら是非教えてください.
なお,M研やS教授の回し者ではありません.